他人の靴を見ているし聞いている。
他人の靴が気になる。
デザインはもちろん、汚れ方とか、紐の結び方とか、かかとのすり減り方とか。
風俗・AVのスカウトは靴や鞄を見るというが、確かに人間性がよく現れる部分だと思う。
他者について一番無意識的に見てしまうのが靴。
ソール部分が汚いと「持ち物にこだわりがないのかな」、紐がほどけているのに気がついていないと「細かいことは気にしないor鈍感なのかな」、足音がうるさいと「ガサツなのかな」。
もちろん全て憶測であり、なんのエビデンスもないが、どうしても妙に気になってしまう。
足音一つとっても、『ペタンペタン』と底を叩きつけるような歩き方、『キュキュ』っと地面にこすり付ける感じ、『パスパスパス』ちょこまかと動き回る歩幅。
私は目以上に耳での情報収集が多く、やたらと気になる。
元々靴は大好きで、以前は毎日違うスニーカーやらパンプスを履いていたものだが、立ち仕事が主流になってからはデザインよりも機能性重視になった。一足を履きつぶしてはまた買い直す、を続けている。
お出かけ用に少し良いスニーカー(といっても一万円程度だが)を二足と仕事用の一足。あとは一応おめかし用のパンプスと、毎年しまむらで買うエスパドリーユ、レインシューズが一足ずつ。
立ち仕事は靴が合わないと死ぬ。
私の足は幅広甲高でナイキが本当に合わない。エアフォースが好きで常に一足は持っているが、長時間履けない。
結局仕事用はソールのクッション性重視のランニングシューズになるが、サッカニーを初めて履いた時は感動した。本当にふかふかで、それまで使っていたペラペラのプーマのランシューに申し訳なかった。
今は舟底スニーカーが美脚に良い!と聞いて試しているが、正直よくわからない。
ただ歩きすぎると足裏が痛くなるのであまり合っていないのだと思う。
こんな感じで、自分がこだわってきたものだからこそ、他人のものが気になってしまう。
なんであんなに汚れているのに洗わないのかなー、とか、あんなに片足だけソール削れてるんだから整体とか行けばいいのに。とか。
隣の芝は青いものだが、私にとっては自分の足元の芝が一番青く美しい。
以前、『不要な靴を捨て、普段使っているものを洗うとお金の回りがよくなる!』と聞いたことがあるが、一応綺麗に保っているつもり…ではある。
実際の金回り云々はさておき、天気のいい休日にベランダに干したり、ソールの汚れを拭き取ったりと靴の手入れをしていると、なんとも『ていねいなくらし』をしている気分になる。ついでに玄関の掃き掃除なんかもしたりして。
普段しないことだからこそではあるが、日用品を大事に使うという基礎が自分一人でできている!という成功体験に近いのかもしれない。
こういった個人のバックグラウンドを元に他人を見るのはよろしくないのかもしれない。
ただ、私は親しくしたい人の靴は清潔で、靴紐がきちんと結ばれていて、豊かな足音であることを願ってやまない。